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- 百日咳
百日咳というのは連続した短い咳(スタッカート)が出る事が特徴の感染症で百日咳細菌という細菌に感染することで発症します。
生後すぐでも感染する可能性があり、1歳以下の乳児、特に生後半年を経過した後では症状が重症化することもあり注意しなければいけません。最近では予防接種を通じて免疫が獲得され、発症率が低下していますが、免疫が衰退した大人や、ワクチン接種を行っていない成人で発症する事があります。
基本的には子供の病気ですが、大人でも発症する事があるという点に注意しておきましょう。長引く咳の原因の一つとして注意が必要です。
原因
百日咳は百日咳菌に感染して発症する病気です。百日咳菌は百日咳毒素という毒素を分泌し、このほかにもさまざまな病気の症状を引き起こす物質を分泌します。
百日咳は小児が発症の主体になり、放っておくと重症化しやすく死亡者の大半は1歳未満の乳児です。ワクチン開発前では感染者の10%が死亡する病気だったのですが、現在では予防接種が行われたり、抗菌薬の発達に伴って死亡率が低下しています。
大人の間では、家庭内、或はまた職場内での長引く咳をしている人からの感染に注意が必要です。
症状
症状はカタル期・痙咳期・回復期という3つの段階を経て進行します。
カタル期
細菌に感染した後、1週間ほどしてから症状が現れてきます。最初のカタル期では普通の咳のような症状が現れ、次第に咳の回数が増えて咳の程度もひどくなってきます。
痙咳期
カタル期の咳がひどくなるとやがて短い咳が連続して起こる痙咳期に入ります。この短い連続した咳はスタッカートと呼ばれ、息を吸う時にはヒューヒューとした笛を吹くような音が聞こえます。咳がひどい場合には嘔吐を伴うことや、肋間筋を痛める事もあります。発熱の程度はそこまでひどくはありません。
回復期
激しい咳の発作は徐々に落ち着き、2~3週間かけて回復していきますが、6~8週間の長期の咳嗽となる場合もあります。
検査
百日咳の検査は病気の原因となる細菌を発見する事です。菌の培養や血清学的検査、遺伝子検査などの検査が可能です。一般的には血清の中の抗体を調べる検査や鼻の奥の細菌を培養する検査、L A M P法という遺伝子を調べる検査が行われています。大人では採血にて百日咳抗体価を調べる方法が主流です。
鑑別診断
百日咳を引き起こす細菌意外にも似たような症状を表すものとして、アデノウイルス・マイコプラズマ・クラミジアなどの感染症でも似たような発作性の咳を示すことがあります。鑑別上注意しなければならず、血液検査や抗原の検査などでどの細菌・ウイルスに感染したのかを調べ、治療を進めていくことが重要です。
治療方法
百日咳に対する治療はまず細菌を殺す抗菌薬の投与が基本となり、エリスロマイシン、クラリスロマイシンというマクロライド系抗菌薬と呼ばれる抗菌薬が用いられます。これらの抗菌薬は特に感染初期のカタル期で有効性があります。
抗菌薬の治療を受けると服用後5日程度で菌が身体から排出されなくなり、症状の進行も食い止める事ができます。病気の特徴になっている咳は鎮咳去痰薬、場合により気管支拡張薬などを併用して管理し、症状を緩和しながら治療が行われるのが一般的です。
予防法
百日咳の原因は百日咳菌です。百日咳が身のまわりで流行している場合には手洗いをしっかりと行い、病気の感染を防ぐようにしましょう。